年の瀬の詰市 【高田のはなし】
今年も残りわずかですね!今回は、お正月を迎える準備といえば…の「詰市(つめいち)」についてお届けします。
まず「まぢの日」のおはなし
陸前高田に市日があったのをご存知ですか?震災前、高田町の大町市場で毎月5のつく日(5日、15日、25日)は市が立っていました。これが「まぢの日」です。
大町商店街から駅前までの店舗も外に机を出して商品を並べ、とても賑わっていました。市が立つ日はまちを歩くだけでも楽しかったそうです。
今回、米崎町にある産直はまなすの吉田エイ子さんにお話を伺いました。看護師としての仕事をしながら、実家を手伝って市日にお店を出していたそうです。震災以前の陸前高田の様子を収めたDVDに写ったまぢの日の様子を見ながら「こんなだったよ~懐かしいね~。売る方も沢山売れて楽しかったんだよ。」と話してくれました。
お正月の準備は詰市で!
12月後半になると、この陸前高田のまぢの日と大船渡盛の木町で行われている市(0と5のつく日)で日が重ならないように調整しながら(両方にお店を出す人がいるので)、お正月に必要な用品を売る「詰市」が開催されていました。
大船渡は大体28日か30日。陸前高田は25日くらいだったようですが、「25日では早い!」と言われることもあったそう。しめ縄、星の玉、松やお花だけでなく、餅の販売/予約もあったので、もっと年末ギリギリにやって欲しかったんですね。
また、新年に合わせてしゃもじやヘラ、お茶碗やお箸を新調する風習もあるので、金物屋さんがとても売れていたようです。
今は12月に入るとスーパーでもしめ縄が出てきますが、「やっぱり詰市があるとお正月が来る気分になるね」と話す方もいました。
「星の玉」という聞きなれないものの正体は神棚飾りです↑。恵比寿様など縁起の良いものが書かれていて、5枚一組で販売されています。
詰市への想い
昭和の終わりあたりまでは賑わっていたまぢの日ですが、平成に入り、客足や店舗が少なくなり、さらに震災によってバラバラになってしまいます。また、道の駅「高田松原」にあった産直も市内に複数に分かれてしまいました。産直はまなすさんでは「誰でも出店(出品)できる場があって一緒にできることを大切にしたい」と、今も詰市を開催しています。(8月には同じように盆市も開催。)
以前のまぢの日や詰市の賑わいは「戻りたくても戻れないところ」という言葉には、考えさせられるものがありますが、ばあちゃんたちが背負子を背負って気仙沼や千厩に売りに行っていた時代から、軽トラでの販売になり、そして無人の産直(野菜売り場)ができ、組合形式の産直ができたという変化の様に、まちや人の動きと共に変わるものがあります。
その中でも、売り手と買い手が会話をしながら買い物ができて「みんなで一緒に賑わっていきたい」という想いを、これからも大切にしていきたいと感じました。
そして今年も12月27日(火)~31日(土)まで詰市が行われます!
詳細は、イベント情報をご確認下さいね。 → こちらからどうぞ!