【高田のはなし】冬の会話
11月も末になり、一段と寒くなってきた陸前高田です。
先日ぱらぱらと初雪も降り、いよいよ冬が来ることを肌で感じます。
さて、今回はそんな冬の時期にちなんだ「言葉」についてお伝えしたいと思います。
朝晩が冷え込み、0度を下回る日が増えてくると、市内ではこんな会話が交わされます。
「道路が“たっぺ”になってっから気ぃつけて歩がっせ」
「ばば、ほんでは気ぃつけて歩がねばわがんねでば」
初めて耳にする方は「“たっぺ”って何だろう?」と思われるかと思います。
“たっぺ”という言葉は方言で「氷(が張っている)」「(道路などが)凍っている」ことを意味します。
薄く積もった雪が日中の暖かな日差しで溶けて水になり、それが朝晩の冷え込みで道路を凍らせてしまう。薄い氷の張ったツルツルの道路のことを、“たっぺ”と言います。
つまり、上の会話はこんな意味になります。
「道路が凍っていて危ないから、気を付けて歩いて下さいね」
「あら、それじゃあ気を付けて歩かないといけないですね」
岩手県は東北の中でも北三県に含まれ、雪が多い県、高く積もる県と思われがちがもしれません。しかし、実は沿岸の南部はほとんど雪が積もらない地域です。内陸や奥羽山脈よりの地域は確かにスキーが出来るくらい積もるのですが、沿岸では10センチも積もると大雪なのです。
雪が積もらないために降り積もった雪はあっという間に水になり、夜の冷え込みで凍って、朝には路面が陽光を受けてキラキラ光ります。
そんな道路になった時には、「あら、今日は道路が“たっぺ”ですね」と一言あると、地元の方との話が弾むきっかけになるかもしれません。
ちなみに…
話題になったNHKの朝ドラ「あまちゃん」では驚いた時に出る言葉として「じぇじぇじぇ!」という言葉が久慈の方言として登場していました。感嘆詞の部類になりますが、陸前高田を含めた沿岸の南側では「ばばば!」と言う言葉がこれに当てはまります。県北に行くと「じゃじゃじゃ!」という言い方も出てきます。
一つの県の中ですが、岩手県と括られるまでは「南部」「伊達」の二つの藩政時代が長かったので、その名残でか実はちょっと文化が違っていたりします。言葉の違いも、そういった部分が少なからず影響しているのかもしれません。
もっと狭い範囲で分けると、海沿いの地区と山側の地区でまた少し言葉が違っていたりするのですが、そこはまたの機会に…
「言葉」という文化を知る事で、もっと高田を知ってほしいと思い、今回は「言葉」についてお伝えしました。
「どういう意味の言葉なんだろう?」と思ったら、どうぞ地元の方に聞いてみて下さい。きっと、人と人とがつながることのきっかけになるのではと思います。