【高田のはなし】 陸前高田の「七夕まつり」
この「高田のはなし」のコーナーでは、陸前高田に関わる様々なことを知って、つながることを目的に、小さなことから大きなことまで、「高田っていいところ!」ということを発信していきたいと思います。
暦の上では立秋を過ぎましたが、涼しさよりも暑さが増した陸前高田です。これからが夏の本番、やっと夏が来たのかもしれません。
第1回目の今回は、陸前高田の夏の一大イベント、「七夕まつり」の様子をお伝えしたいと思います。
陸前高田市には伝統的な三つの「七夕」がありました。
一つは、高田町の「うごく七夕まつり」。山車を豪華に、鮮やかに飾り付け、祭組それぞれのお囃子の音色と共に町内を練り歩く、壮麗な山車行列が見もののお祭りです。夜には電飾、灯篭で衣装替えした山車のきらびやかで幻想的な姿が一層美しさを際立たせます。
かつて十二あった祭組の多くは被災し、一昨年、昨年とすべての山車が揃うことはできませんでしたが、今年は多くの支援を頂いた中、十二の山車が震災後初めて出揃いました。
もう一つは、気仙町の「けんか七夕まつり」。こちらは「気仙大工」という大工技術によって組まれた大きく頑丈な山車同士を激しくぶつけあう、その名の通り「けんか」が最大の見せ場です。観客も「けんか」の時には綱を引いてと呼び掛けられる、「見る」お祭りではなく「参加する」お祭りです。
かつては四つの祭組が山車を作っていましたが、大部分が被災しました。一昨年は「けんか」が出来ませんでしたが、昨年、今年は二台の山車で「けんか」が復活しました。
最後に、小友町の「海上七夕」。吹き流しやたくさんの短冊で飾られた漁船が鮮やかな、海の七夕です。残念ながらこの十数年は行われていませんが、子どもの頃に港から見た七夕の光景を憶えている市民の方も多いのではないでしょうか。
陸前高田の「七夕まつり」は全て8月7日に開催されます。盆の入りのこの時期に行われる祭の意味は、盆に帰ってくるご先祖様の道しるべと言い伝えられています。
平日でも日曜日でも、8月7日という開催日だけは変わらず、これまで続いてきた陸前高田の伝統の一つなのです。
今年の高田町「うごく七夕まつり」の様子です。鮮やかな山車を見ようと、市内外から多くの方が訪れていました。
イベントブースではライブも行われていて、市街地は夜までにぎやかな声と灯に包まれていました。
こちらは気仙町「けんか七夕まつり」の様子です。「けんか」は引手がいなければ始まりません。
見てもその迫力に圧倒されますが、やはり参加してこそです。一生懸命綱を引っ張って、手に豆のお土産を作って帰るのがこの祭りの醍醐味です。
この日のために帰ってくる若者も多くいます。山車製作を手伝ってきたボランティアの方々の姿も多くありました。
何より、震災でばらばらになった町の仲間達が一堂に集う、大切な一日となりました。
高田のまちに暮らす人々の心のふるさと、「七夕まつり」はまさにそれなのだと感じました。
来年は市街地の盛り土工事も始まる予定と会って、今年の様に開催することは難しいかもしれません。それでも、「来年もまたやるべし」という声が祭りの終わりに聞こえてきました。
一時的に休みを挟むことになっても、この先も人々の繋がりと共に未来へとこの伝統が途切れずに受け継がれていく事を願います。
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