【CheerUp!陸前高田】下矢作灯篭七夕 ~復活と鎮魂の思いを込めて~
8月も残りわずかとなりました。
例年より暑さの厳しい今年の夏でしたが、お盆を過ぎて秋の気配が漂い、既に肌寒い陸前高田です。
今月の「CheerUp!陸前高田」は、地域の人たちの手により復活したお祭りを紹介します。
陸前高田市矢作町下矢作地区。矢作川に沿って広がるこの地区で、今年43年ぶりに「灯篭七夕」が復活しました。
灯篭七夕は、昭和初期に始まり、最盛期には3つの祭組それぞれに山車が出ていましたが、
交通環境の変化により1972年を最後に運行が途絶えていました。
今回、「下矢作灯篭七夕を復活させる会」が主催となって準備を進め、8月15日に山車1台が地区内を練り歩きました。
朝10時頃に下矢作地区コミュニティセンターを出発。
まず気仙町方面のしまっぺ(小嶋部・大嶋部)に向かい、折り返して地区の北側にある雪沢へ。
国道343号線を渡ってからは緩い登り坂が続いて予想以上に時間がかかり、雪沢公民館に到着した時には
既に13時を過ぎていました。ここでお昼休憩。その後、地区の中心部に折り返して、今後は西側の湯漬畑に向かいます。
日の入りの18:30頃から灯篭に明かりを灯し、湯漬畑から折り返してコミュニティセンターまで戻るという、
なんと約25kmの行程でした。途中の休憩場所では山車の中で太鼓と笛の演奏も行われました。
実は、過去の運行でも雪沢までは行ったことがなく、ちょうど夏祭りで賑わっていた雪沢公民館では、
「ば~なんと!ここまで来たのか?!」と歓声が上がっていました。
引手はもちろん地域の方々。岩手大学生のサポートもありましたが、お盆で帰省していた学生たちも多く、
子どもから大人まで頑張りました。特に明かりが灯った夜は、見物に来た人が次々に引手にはまって大盛況。
おそろいの青い半被、「ヨーイヨイ」の元気な掛け声と引手の笑顔、そして沿道にもたくさんの人が集まり本当に賑やかでした。
夜の山車は、昼とは異なって一段と鮮やかです。昔と同じように蝋燭だけで灯りました。
山車の両側に描かれた歴史絵巻は、今回も43年前と同じ方が描いたそうです!
当時20代だったというご本人も、とても感慨深いと話していました。
「灯篭七夕を復活させる会」では、震災前から復活を目指していたものの震災の影響で一時頓挫します。
それでも、伝統を次代へつなげること、そして震災で犠牲となった方々への鎮魂の思いから、再び動きだし、
見事復活となりました。
今後も毎年8月15日に開催する予定だそうです。
「本来ならお盆で帰省する人は14日で帰ってしまうが、七夕があれば「じゃあ七夕終わってから」となる。まちが賑やかになるね。」
と地区の男性が話していたのがとても印象に残りました。