【CheerUp!陸前高田】Change Maker Study Program ~広田の地域おこしの担い手を育てる~
新年度がスタートして早1ヶ月となりました。
三寒四温を繰り返しながら、春の訪れを感じる陸前高田です。
今月の「CheerUp!陸前高田」は、NPO法人SET(セット)が行っている「Change Maker Study Program」をご紹介します。
SETは東日本大震災を機に設立された団体で、市内広田町を中心に、住民と外部の若者を繋ぎ陸前高田に
これまでなかった働き方や生き方の創造や、地域がより魅力的になっていくために活動しています。
Change Maker Study Programは、大学生・大学院生を対象にした、実践型で「地域おこしの担い手」を
育成するプログラムです。参加者は、市内広田町に1 週間滞在し、住民との交流や体験を通してその暮らしを知り、
地域の課題を見つけその解決策を考え実行します。これまでに6回開催されており、3年目となる今年は、
2月末から3月に第7期~第9期を開催し、首都圏を中心に全国から併せて46名が参加しました。
実は今回、運営側にとっても大きなチャレンジがありました。
これまでのプログラムでは広田町全体で行っていたために関わる住民は一部に限られていましたが、
一人ひとりの関係性や向き合う事を大切し、より交流が深められるように以下2つを改めました。
①広田町内全体から地区単位での開催:
町内8地区の中で、第7期は大陽(おおよう)地区、第8期は根岬(ねさき)地区、第9期は泊(とまり)地区で開催。
②民泊を取り入れる:
滞在初日に開催地区の住民宅へ民泊。
広田町が初めての参加者たち。陸前高田に来たことはあっても、市内中心部から少し離れた半島にある広田までは
来たことない人がほとんどで、その参加動機も様々です。
・地域おこしや地域に関わることに興味がある。
・大学生活を充実させるために。
・自分の成長のために。
「東北や被災地のために」との思いもありますが、当初に比べると減ってきているそうです。
現地では全体での目的確認からスタート!様々な経験を持った学生が集まりますが、まず「これまでの経験などにとらわれず、
この町で関わる一人一人と向き合い、本当に町のためになることをやりきろう!」としっかり伝えます。
「広田のまちで起きていることを知り、目の前の人の笑顔を作ること。それがさらに地域が明るくなることにつながる。」との考えです。
≪1週間のプログラムの流れ≫
1日目
【全体ミーティング】 プログラムの目的確認など
【地域住民宅に民泊し住民との交流】 参加者2~3人ずつ民泊
2日目~5日目
【民泊受入れ先や地域内での作業体験や対話】 漁業、農業など地域の生業のお手伝いなど
【体験を通して感じた地域の魅力、課題、今後の理想などの共有】 グループことに検討
【中間報告会】 学生が考えてきた「広田のために」の想いを地域の方々に伝える場
【アクションプランの検討会議】 自由テーマでプラン実行の協力者なども考えていく場
6日目
【アクションプラン実行】 学生が広田で活動する中で感じた課題に対する具体的な解決アイディアを地域の方と一緒に実行する日
7日目
【最終報告会】 グループ毎のアクションプラン発表や一人ひとりが想いを伝える場
作業体験後は3つのチームで動いていきますが、全体での共有や意見交換も活発で、グループと全体が連動して一体感が生まれていきます。各回スタッフを含めた全体20~25人が(スタッフも同世代の学生)、「いかに広田を笑顔できるか、また地域に貢献できるか」を
時には夜中まで話し合い、その結果、地域の人に返せるものが大きくなっていくそうです。
今回実行されたアクションプランから3つを紹介します。
≪地域の魅力を探す「ひろさんぽ」≫
住民と一緒に地域を散歩した後、匿名で全員が広田への想いを手紙に綴り「魅力ボックス」に投函。
普段なかなか言えない思いや広田の好きなところをみんなで共有する場となりました。
≪マイニチヒロタめんこい大作戦!≫
大学生の価値観や新しいことをちょっと取り入れた日常が少し刺激的になることを一緒にやるということで、
一緒に健康体操を考え踊るなど盛り上がりました。
≪広田の良い所再発見スタンプラリー≫
7つのスポットを設けて、住民と大学生が一緒にまちを歩きながら回り、広田にある魅力ある場所を再発見しました。
最後にスタンプシートを住民にプレゼントしました。
今回は、中間報告会そして最終報告会にも沢山の住民の方々が参加してくれたそうです。
民泊を受入れた住民からは、「民泊の後、自分の家に来た学生の様子が気になって報告会に足を運びました。
地域にいきなり何人も学生が来ても、なかなか全員を知ることはできないが、一人でも親しい人ができると、
これまで以上に学生と地域住民の交流が生まれていると感じる。」との声がありました。
報告会では、各グループの成果を報告するだけでなく、一人ひとりが最後まで広田に向き合い、
1週間で感じてきたことを地元の方に伝えることを大切にしています。その思いを伝え合うことが心の触れ合いとなっています。
住民の暮らしを知りながら地域の声を拾い上げるだけでなく、具体的な「誰か」に喜んでもらうことを意識した企画を「実施する」
ところまで行うのがこのプログラムの特徴だと感じます。その誰かとは、単にプログラムの中で関わったというだけではなく、
時には陸前高田の「父」や「母」、また、家族のようになった存在であると感じられました。
きっと今後も交流やつながりが続いていきますね。既に将来広田への移住を希望する参加者もいるそうです。
1週間のプログラムですが、実は準備の半年間でスタッフが開催地区に通い、住民と交流や対話を重ねています。
その中で外からの学生だけでなく、住民にとっても「これまで普通にやってきたことが実はまちのためになっていた」との気付きが
あるなど、外部からの学生と住民どちらからも「地域(広田)が気になってしまう連鎖」が生まれて、
広田の地域おこしの担い手が増えていく事が期待されています。
次回は、今年の8月~9月にかけて、今回実施した3地区含め残り5地区まで広げていくそうです。
更に今後は1年~2年をかけてじっくり地域に向き合いながら広田全地区まで展開していく予定とのことです。
第7期~9期の様子は、SETのホームページでもご覧になれます。
SET Change Maker Study Program ホームページ