【Cheer Up !】地域の避難計画を一緒に考える~逃げ地図ワークショップ~
4月に入り陽気も穏やかになり、春を迎えた陸前高田市です。
桜や梨に続いて、これから林檎や藤の花の季節もやってきます。
少し前、まだ寒さが残っていた3月の話になりますが、
市内小友地区において、住民主導で地域の避難計画づくりを考える取組みが行われました。
今回のCheerUp!では、その様子をお伝えします。
「小友地区の『逃げ地図』を作る」と題したこの企画は、小友地区コミュニティ推進協議会と
消防団小友分団が主催、陸前高田まちづくり協働センターが共催、明治大学震災復興支援センターが後援しました。
その他、子ども安全まちづくりパートナーズや日建設計震災復興ボランティア部の協力のもと、
津波からの避難経路を考えることで、今後の避難計画づくりにつなげようという試みです。
『逃げ地図』とは、避難する際の所要時間を色分けして表現することにより、
避難に関わる時間情報を「見える化」することができる地図です。
津波の浸水域が記された地図に、高齢者のペースで3分ごとに徒歩で移動できる距離を書き込んで色分けしていくことで、
避難時間とルートを見える化することができます。漠然としていた避難所までの所要時間が明確になることで、
危険な個所の洗い出しも可能になります。
市内ではこれまでに、長部地区や高田中学校で逃げ地図作成ワークショップが行われていますが、
今回は、消防団やPTAの視点を交え、逃げ地図を作成を通して津波浸水区域からの避難場所・経路・時間の
認知促進だけでなく、地区の防災計画を住民主体で一緒に考えることにつなげることを目的とし、
住民や関係者など約30名が参加しました。
【ステップ1】
地図作成の説明を受けた後、4つのグループ分かれて地図作成。
地区を西側と東側に分け、さらに東日本大震災では車で避難する人も多かったとの住民の話から、
徒歩と車両の両方での移動をを対象としたグループ、車両での移動のみを対象としたグループと異なる条件を
設定しました。
津波の到達点、防災計画の第1次・第2次避難所の位置や通行可能な道であるかなどを確認してから、
逃げ地図を作成していきます。
【ステップ2】
作業しながら出される意見はポストイットに記入し、作成した地図を見ながらの話し合い。
消防団の活動内容や要援護者の避難誘導、避難所の適正など様々な視点から、
「現在は、住居は高台にあるので、浸水域は農業、漁業に携わる方々の仕事場。彼らが安全に避難できることが重要」、
「車両は通れるが道幅が狭いので、渋滞すると消防車両が来てもすれ違えない」、
「避難場所については問題ないが、2次避難所については大勢が滞在できるキャパがない」といった
意見が出されていました。
【ステップ3】
最後にグループごとに地図と話合った内容を発表。
その中で、「小友の浸水域は農地が多く人的な被害がなかった。海から高台が近いという地理的条件に恵まれ避難しやすい」、
「足の悪いお年寄りの対応をどうするか?車は渋滞も考えらえるので、可能な人な徒歩で避難してもらうのが最善だ」、
「消防団の取組みでは、広田半島側への移動を停めることが仕事になるが、指示を守ってもらえればいい」等の意見も、
全体で共有されました。
逃げ地図は一度作って完成ではなく、住民同士がさらに避難経路や地域について考えるきっかけとなり、
話合いを継続していくことが重要となります。また、今後の活用についてもも様々検討していくことができます。
今回の取り組みがさらに輪を広げ、企画の大目的である「地区の防災計画を住民主体で一緒に考える」ことに
つながって欲しいと感じました。今後の動きも応援していきたいと思います。