【高田のはなし】七夕のはなし
陸前高田の中心地で、一年で一番暑い一日といえば8月7日。
高田町の「うごく七夕まつり」、気仙町の「けんか七夕まつり」が開催される日です。
「高田のはなし」第1回でもご紹介しましたが、今回は「うごく七夕まつり」の今年の様子をお伝えします。
高田町の「うごく七夕まつり」は、山車を豪華に、鮮やかに飾り付けて町内を練り歩く、
観光客の方々にとっては壮麗な「見るお祭り」です。
更に、昼と夜では飾りが異なるので、目で二度楽しめます。
震災の後はボランティアのサポートもいただきながら、旧市街地を回遊していました。
昨年から旧市街地の盛り土工事が進み、恒例の場所だった駅前通りは使用できず、
今年は旧キャピタルホテルから高田小学校へ向かう通りがメイン会場となりました。
写真にある通り、今年は下和野災害公営住宅の近くが山車の運行ルートになっていたため、
公営住宅から山車を眺める住民の方の姿も見られました。
盛り土により消えていく以前のまちの面影を偲ぶように、それぞれの山車は主会場へ行く前に、
まず、かつて自分たちが暮らしたまちのあった場所へ向かう姿が見られました。
そこにあったまちと、仲間たちへ、今年もこの日が来たことを告げに行っていたのでしょうか。
短冊のついた笹竿は、一説には故人を偲ぶという意味が込められていると言われています。
そのために、高く高く空に向かって立てるのだ、と。
お盆前のこの時期、高く伸ばした笹竿と、「よーいよい」の掛け声は、
ともに暮らした仲間たちが迷わずふるさとに帰ってくるための目印なのかもしれません。
旧市街地で七夕ができるのは、今年が最後と言われています。
風景も暮らしも時間と共に変わっていきますが、8月7日という日を彩る人々の姿と
そこに込められた想いは、これからも変わらず続いていってほしいと願います。