【高田のはなし】氷上山のはなし
蒸し暑さが続く陸前高田です。
プールの水音が涼しげに感じられますが、子ども達は間もなく楽しい夏休みを迎えます。
夏のレジャースポットと言えば海・山・川。
陸前高田は海あり、山あり、川ありの、自然の資源にあふれたまちです。
陸前高田の山と言えば「氷上山」ですね。
市内の学校の校歌にも、「松原」「白砂」と並んで「氷上」という単語が
入っているところもいくつかあるくらいなじみの深い山であり、
また古くから信仰の対象とされてきた山でもあります。
標高は874.7メートルとそれほど高い山ではありませんが、
冬に薄く雪化粧した姿も美しい、陸前高田のシンボルの一つです。
陸前高田で育った人ならば誰しもが一度は必ず登っているのではないでしょうか。
氷上山の名前の由来を調べてみると、どうやら諸説あるようです。
今回は、その由来のいくつかをご紹介します。
一説には「日高見(ヒタカミ)」「日ノ上(ヒノカミ)」が転訛して「ヒカミ」となったと言われています。
この地方は古くは海道夷(カイドウイ)の住処であり、夷は「ヒナ」と言われ、「夷(ヒナ)」の「住むところ(カ)」の「近く(ミ)」でヒナカミとする説があります。
(蝦夷と言えば古来、北海道や東北地方等に住む人を指した言葉ですが、海道夷は三陸地方の蝦夷のことだとか。)
また、「ヒカミ」=「日ノ神」「火ノ神」が転訛したものとする説もあります。
伝承によると、その昔野火による山火事で裾野が焼けてしまうことがあった際、
山頂部だけが焼けずに残ったことから、「この山には火伏の神が住まう」として「火神山」と名付けられ、それが現在の「氷上山」になったと伝えられています。
名前の由来は諸説ありますが、伝承を知って改めて山を眺めると、また違った趣が感じられるのではないでしょうか。
今回ご紹介させて頂いたのはあくまで一説ですので、興味のある方はその本当の由来を調べてみるのも、陸前高田とつながる一つのきっかけになるかもしれません。
※参考:陸前高田市地名考(発行:陸前高田市郷土史研究会)